「伝える」だけで終わらない
栄養指導に共通する「営業」の知識
― 相手の心を動かすコミュニケーション力 ―

一生懸命説明したのに、患者さんの返事は「はい、わかりました」。
でも、次に会ったときも、あまり行動は変わっていない。
栄養指導をしていて、そんな経験はありませんか?(実は私も多く経験してきました。)
管理栄養士には、栄養や病態についての専門知識があります。
でも、正しい情報を伝えるだけでは、必ずしも行動につながるとは限りません。
そこで考えたいのが、「伝えた先」のコミュニケーションです。
説明を聞いた相手がどう感じ、何ならできそうだと思ったのか。
そこまで一緒に考えるためのヒントとして、「営業の知識とスキル」が役立ちます。
営業というと、「商品を売る」「契約を取る」といったイメージがありますよね。
そのなかで大切にされているのが、相手を知り、その人にとっての価値を伝え、次の一歩を後押しすること。
これは、栄養指導にも共通する考え方です。
栄養指導にも使える、営業の3つの考え方

それぞれ、身近な場面から見ていきましょう。
01|相手を知る
「どんな食事をしていますか?」の、その先
営業では、いきなり商品を説明するのではなく、まず相手の状況や困りごとを聞きます。
栄養指導でも、この姿勢は大切です。
たとえば、
野菜をあまり食べていない
運動ができていない
夜にお菓子を食べている
といった食生活や生活習慣を確認するだけでなく、
「どんな事情や背景があるんだろう?」と、その背景にも目を向けてみましょう。
仕事が忙しいのかもしれません。睡眠が足りていないのかもしれません。家族との生活リズムの違いや、ストレスが関係していることもあります。
背景を知ることで、その人に合った提案がしやすくなります。

そのように相手を知ることが、適切な提案の出発点になります。
02|価値を伝える
「何をするか」だけでなく「どうなれるか」
たとえば、減塩が必要な方に、

と伝える場面。
正しくて必要な情報でも、それだけでは行動につながらないことがあります。
そこで考えたいのが、「それに取り組むことで、その人にとってどんな良いことがあるのか?」という視点です。

その人が旅行を楽しみにしているなら、数値の目標だけでなく、その先にある暮らしとも結びつけて話してみる。
営業では、商品の特徴だけでなく、「その人が得られる価値」つまり「ベネフィット」を伝えることを大切にします。
栄養指導でも、「何をするか」に加えて、「それが自分の望む暮らしにどうつながるか」を一緒に考える。
その人自身が「それならやってみたい」と思える理由を見つけることが大切です。
03|一歩を後押しする
「できそう」を一緒につくる
営業には「クロージング」という言葉があります。
「契約を迫ること」と思われがちですが、相手が納得して意思決定できるように支える部分です。
栄養指導に置き換えるなら、

と声をかけ、無理なく取り組める小さな行動を一緒に決めること。
たくさんの改善点を伝えて終わるのではなく、「今日から何ができそうか」まで一緒に考える。
相手の行動を後押しする大切なコミュニケーションです。
栄養指導に活かせるヒントが「営業」にある
ここまで紹介したのは、営業で使われている考え方のほんの一部です。
営業の現場では、
どんな質問をすれば、相手の本音を聞けるのか?
相手にとっての価値を、どう伝えればよいのか?
押しつけずに「やってみよう」と思ってもらうには、どうすればよいのか?
といった問いに向き合い、質問や提案の工夫がされています。
「営業」と「栄養指導」。仕事内容は違っても、相手を理解し、価値を伝え、行動を後押しするという点は、大きく共通します。
この力は、職場での提案などにも活きる
この考え方は、患者さんとの会話だけでなく、管理栄養士として自分の仕事の価値を伝える場面にも使えます。
たとえば、職場で新しい取り組みを提案するとき。
「これをやりたいです」と希望を伝えるだけでなく、今ある課題と、それを解決するための提案、期待できる変化まで伝えるのが効果的です。

他の職種の人に栄養介入の必要性を伝えるときも、同じ考え方が役立ちます。
日々の仕事に力を尽くしていても、その意味や成果が周囲に十分伝わらず、モヤモヤすることはありませんか。
そんな時こそ大切にしたいのが、次の2つの力です。

両方を磨くことが、管理栄養士としての信頼や評価につながり、仕事の幅を広げるきっかけにもなるはずです。
まとめ
「何を伝えるか」だけでなく、その先も一緒に考える
栄養指導にも活かせる営業の考え方は、シンプルです。

管理栄養士にとって、専門知識を身につけることはもちろん大切です。
そこに、相手の思いを聞き、価値を伝えるコミュニケーション力が加わると、知識を日々の仕事により活かしやすくなります。
栄養指導にも、職場での提案にも、そして、自分自身のキャリアにもつながる力です。
次の学びへ
さらに「相手の心を動かす」方法を学ぶ
ここまで読んで、こんなことが気になった方もいるのではないでしょうか。
✓ 相手の本音を聞くには、具体的にどんな質問をすればいい?
✓ 相手が大切にしていることを、どう見つければいい?
✓ 「やってみよう」と思ってもらうには、どう声をかければいい?
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栄養指導の伝え方を磨きたい方はもちろん、
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「自分の仕事の価値を周囲に伝えたい」
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